2022/05/01

ADX と RSI を使う人の必読書「ワイルダーのテクニカル分析入門」

高額だけど役に立つ本の一つに、
ワイルダーのテクニカル分析入門」という本がある。

私が使っているテクニカル指標である RSI と ADX の開発者による解説書である。

約20前に、この本を \10,800円で購入して読んでみた時は、
期待したわりには内容も薄く、ただ高いだけの本だと思っていた。
しかも、A4サイズのデカすぎる本なので、本棚の奥に隠れていた。

それが約1年前、Kindle版が 500円の特価で売られていたので、
久しぶりに読んでみたら、今まで見えなかった 行間 が読めてきて、
とても意味深い本であることに気がついた。

20年前と違って今は、自分で過去30年分の株価データの四本値をもとに
自作システムで RSI も ADX も計算して分析した経験もあるので、

「作者が 何を知りたくて、この指標を考案したのか?」

という観点で読むことができたからである。

肉眼で見ることのできる「計算式」や「使用例」という
結果物を見ただけでは知恵など生まれない。

むしろ、
肉眼では見ることのできない真の原因、つまり、

作者の "思い"、"ひらめき"、"気づき"、"情熱"、"こだわり" 等

こそが、最も重要な 情報(知恵) だった。
それを考えると、 \10,800円 + 500円 は、高くない買い物だったと実感している。

その後私は、「ADX」(DMIを含む)という指標をとても重要視するようになった。

私の自作分析ツールで、ADX を入れるようになって、
その成績を見ると、一目瞭然かもしれない。

トレンドフォロー系の大半のテクニカル指標やシグナルの
「信憑性」があるのか? という最も肝心な疑問に応えてくれるのが
まさに「ADX」であるからである。

つまり、ADXの値が低い場面は、PPP(パンパカパン) ですら信憑性は低い、となる。

そして「ADX」は、日足だけでなく、週足と月足も複合して見ると、
さらに有効なシグナルになる。

でもその有効なシグナルを知ったとして、
勝率をもっと高められるのか? 利益をもっと確保できるか?
は、さらにもっと別な技術が必要になる。

そのシグナルをもとに、どういうトレード判断をして、どういう注文を出すか?

というような技術である。

 ・シグナルが出る前に 見切り発車で 素直に仕掛けるべき場面
 ・シグナルが出る前に 見切り発車で 逆に 仕掛けるべき場面
 ・シグナルが出た後に 遅れて 素直に仕掛けるべき場面
 ・シグナルが出た後に 遅れて 逆に仕掛けるべき場面

等の見極めである。

これを全部完璧に、システム的にやろうとしたら、プロには絶対勝てない。
プロのディーラー等は、スーパーコンピューター(スパコン)を使って
全パターンを常に実験して、最適な方法でやっているはずである。

一般の個人投資家は、
「分からない場面は、やめておく」 という行動ができるのが強み
なので、

その「やめておく」の判断のために、システムを活用すればよい。

システム判断なんてなくても 誰でもうまくいくような場面であることの裏付けとして、
目に見える形で数値で提示して、怖がっていてわがままな 自分を納得させること

これこそが、私がトレーディングツールに求める条件である。

世の中に、そういう 理想のシステムが存在しないので、
自分で今、試行錯誤しているけれども、
理想のシステムが存在しないからこそ、
ワクワクした期待感に満ちた作業になっているのかもしれない。

「ワイルダーのテクニカル分析入門」の おわりに の部分を読むと、
作者(ワイルダーさん)の気持ちが、今ならば、よく分かる。
最後に、引用しておこうと思う。
(ディレクショナルムーブメント・インデックス = 「DMI」。 ADX はこの一部)


おわりに

 本書の冒頭に、ひとつのシステムを使って、すべての市場において安定した利益を上げることはできないと述べた。

トレンドフォローのシステムは、方向性のある市場では一貫して利益を上げる反面、方向性がなくなると一貫して損失を出してしまう。

つまりトレーダーに必要なのは、手持ちのデータを使って方向性を見極め、それを数値に置き換える方法だということになる。

これに対する筆者の答えは、ディレクショナルムーブメント・インデックスである。

これが最善あるいは最終的なものかどうかは分からないが、筆者の知るかぎりでは最初の決定的な打開策だと思う。

 筆者はこれまでにも検証とチェックを重ね、「究極の方法」だと思えるシステムをいくつか考案してきた。そしてそのたびに研究に没頭するのはやめて、このシステムでトレードをしていこうと思うのだが、結局、また今朝のように、夜中の3時に目が覚めて、新しい概念を思いついてしまう。

こうなると、もうそれを追求するほかはなく、これは永遠に終わることのない研究ではないかと思うこともある。

 もし早朝の啓示がこの先も続くのなら、いつの日か本書の続編を書くことになるかもしれない。

 そのときまで、良いトレードを続けてほしい。幸運を祈る。

J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア.ワイルダーのテクニカル分析入門 ——オシレーターの売買シグナルによるトレード実践法(Kindleの位置No.1357-1368).パンローリング株式会社.Kindle版.

2 件のコメント:

  1. 細野さん

    過去ログ読んだ時、大セールしてたことを知りました。
    この本、読んだ方がいいかしら?
    なんて考えてたところ取り上げられていてびっくり。
    細野さんのツールに
    出てくる
    ADX
    BBW
    RSI

    この3つ。勉強し直してます。
    また、最近の更新でも出てきてますね。やっぱり有効なんだなぁと。

    それと、アレ
    やっぱり
    細野式ポイントアンドフィギュア
    じゃないんですか??

    20200502
    のログにテキストで説明をしてもらっていますが。
    詳しい使い方などは、SNSリンクにある
    ポイントアンドフィギュア活用研究会に書かれているのでしょうか?
    Facebookやったことなくて。

    詳しい使い方知りたいです。

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    1. 「PF」記号でリンクされているのは、たしかに
      「細野式ポイント・アンド・フィギュア」ですが、
      2020/5/2の記事中にある形とは違っています。

      右端にある、移動平均値等を記載した情報表示列は、
      もう役割を終えたので、廃止しています。

      一般的なポイント・アンド・フィギュアと異なるのは、
      上下に、日付(転換日)と滞留日数の行を入れたのと
      右端に現在値(終値)を表示しているところです。
      ここがオリジナルです。

      画面上部で、いろいろな切り替え操作ができます。

      銘柄、日付、時間枠(日足、週足、月足)、
      1枠サイズ3種(大、中、小)、表示本数
      を切り替えることができます。

      情報表示と終値表示を「消す」にすれば、
      一般的なポイント&フィギュアとほぼ同じになります。

      Styleを「滞留幅付き」にすれば、
      以前の 細野式Style になります。

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